専門家の声

看護大学教授・和住淑子さん「今では夫や娘も未来食を学び始めています」

近代看護の祖といわれるナイチンゲールは、1859年、病気とは「癒やそうとする自然の努力の現れ」である、という画期的な見方を発表しました。これは、病気とは何か良くないことが起こっている状態だ、という当時の常識とは全く逆のとらえ方でした。この発想の転換により、人間が本来もっている生命力への着目を促したナイチンゲールは、当時、医師の補助程度に見做されていた看護を、癒そうとする自然の力が最も働きかけやすいように、最良の状態に患者を置くための技術として確立しました。


大谷ゆみこさんの『未来食』を読んだとき、すべての人の中に共通して働いている「生命力」とそれを楽しみながら拡大する技とレシピが誰でもわかるように明快に書かれており、ナイチンゲールの言っていることとのあまりの一致に衝撃を受けました。
現代では、多くの人々が「外から何かを補う」という発想で自身の健康を維持しようとして、彷徨っています。自らの中に働いている生命力に対するゆるぎない信頼を呼びおこさせ、その発揮を通して誰もが自分らしく人生を楽しむことができると教えてくれる未来食は、今、誰もが身につけるべき最も基本的な生活技術だと思います。


未来食を実践しての自身の変化


 私はもともと料理が苦手だったので、未来食を実践し始めたばかりの頃は肩に力が入りすぎ、正しい食事なのだから食べるべきだ、と、家族にも無言の圧力をかけていたように思います。なので、喜んでもらえると思って作った「もちきびコーンのカルボナーラ」を、「こんなのカルボナーラじゃない」と娘が食べてくれなかったとき、悲しくて、怒りのような感情が湧いてきてしまいました。
 料理教室に通いながら、まずは、自分が楽しんで料理をする、自分が美味しいと喜んで食べる、自分を大切にする、ということを心掛けたら、体調がよくなり、料理の腕も上がり、家族が食べなくても、動揺しなくなりました。そして、今では夫や娘も未来食を学び始めています。

和住淑子さん(千葉大学大学院看護学研究院教授、附属看護実践・教育・研究共創センター長)